開発秘話
電気だけでなく、付加価値をお客さまへ届けたい
――東北電力ではなぜ、電気の販売だけでなく、省エネ支援にも取り組んでいるのでしょうか?
五十嵐:きっかけは、2000年3月に始まった電力の自由化です。法人のお客さまが電力会社を選べるようになり、東北電力としても電気だけでない付加価値の提供を、それまで以上に追求するようになりました。
多くのお客さまはコスト削減が課題となっていましたから、まずは省エネ支援から始め、空調設備の受託サービス、デマンド監視・電力の可視化サービス、コーポレートPPAサービスと、お客さまの課題や時代背景に合わせてラインナップを増やしながら、様々なソリューションを、20年以上にわたって幅広く展開してきました。
――その中で、2020年に提供開始した「エグゼムズwith A」は、お客さまのどのような課題解決を目的に開発されたソリューションなのでしょうか?
岩渕:元々、ある程度の規模があるお客さまは、電気料金の構成に対する知識もあり、デマンド抑制が基本料金の削減に繋がることをご存じでしたのでデマンドを監視する機器をお使いでした。
一方、契約電力500kW以下のお客さまは、デマンド抑制に取り組んでいるケースが少なかったため、このようなお客さまにもデマンド監視を通じた基本料金の削減を支援できるよう、2018年にエグゼムズのスタンダード版をリリースしました。
スタンダード版は、リアルタイムなデマンド監視と24時間先までの予測、さらに設定値の超過を予測した時のアラートを主な機能とするサービスです。これらの機能をもとに担当者が実際にデマンドを管理する際、エアコンの稼働を抑えて対策を講じることが多いのですが、エアコンの位置が遠かったり、担当者が忙しかったりといった要因で対応が遅れ、デマンドが設定値を超過してしまうことも起こり得ます。
このような状況を回避するため、リアルタイムな監視と予測をもとにエアコンを自動制御し、より効果的で効率的なデマンド抑制を実現する「エグゼムズwith A」を開発することとなりました。
4つの特徴
デマンド制御と室内環境維持の両立を、導入しやすい料金体系で実現
――「エグゼムズwith A」のサービスの特徴について教えてください。
五十嵐:「エグゼムズwith A」のサービスには、4つの特徴があります。
1つ目は、エアコン本体に負担をかけないという特徴です。クラウドサービスである「エグゼムズwith A」は設定値の超過が予測された時に、エアコンの室外機に取り付ける端末へ向けて信号を送り、その端末を経由して室外機のデマンド制御機能を働かせます。この「デマンド制御機能」は室外機にもともと備わっているものなので、機器に負担をかけることなく空調制御が実現できます。
2つ目は、配線工事が不要である点です。「エグゼムズwith A」は、室外機に取り付ける端末を電池駆動式にしているため、配線工事が不要でサービス料金の低減に繋がっています。
「室外機に設置する制御端末は電池駆動のため設置が容易」
3つ目は、空調制御の大きさに4つの段階があることです。予測値が、設定値を大幅に超える場合には大きな制御を、少ししか超えない場合には緩やかな制御を行います。仮に、制御の大きさがひとつしかない場合は、デマンド超過を防ぐために常に大きな制御をかけることになり、部屋が暑すぎたり寒すぎたりする状況となってしまいます。4段階による自動制御で、デマンド抑制と室内環境の快適性を両立しているのです。
ここで、室内環境の快適性確保に繋がる、もうひとつのポイントをお伝えします。
エグゼムズでは、常に変動している電気の使用状況から30分後の使用電力量を予測して、デマンド(アラート設定値)を超過するかどうかを判断しているわけですが、通常「最初の10分間はアラートを出さない=空調制御をしない」仕様となっております。
デマンドは、30分間を1つの単位としていて、30分間における累積の使用電力量が設定値を超えなければデマンド超過は発生しないので、10分が経過してからの判断・空調制御でも、残りの時間で帳尻を合わせることが出来るのです。
加えて、15分と20分にも「アラート設定値の超過」を判断することで、空調を制御している時間を、最短で1分、最大でも20分とすることが可能となっており、これが、室内環境への影響度の最小化に繋がっています。
4つ目は、導入しやすい料金体系となっているという点です。端末代や工事費用などの初期費用が不要で、月額サービス利用料金のみで導入が可能となっています。
さらなる進化へ
コスト削減の課題と社会の要請に応えるサービスへ
――DR(デマンド・レスポンス)サービスと「エグゼムズwith A」の連動によって、お客さまにどのような価値を提供できるのでしょうか?
五十嵐:DRは、電力需要の多い時間帯に、お客さまに電気の使用を減らしていただいたり(下げDR)、太陽光発電の影響などで電力が余る時間に電気の使用を増やしていただいたり(上げDR)と、電力の需給バランスに合わせて電気の使い方を変えていただくものです。DRの取り組みは電気の最適利用に繋がりますので、当社においても法人のお客さま向けにDRサービスを展開しており、DR達成量に応じた成功報酬をお支払いしています。
DR と「エグゼムズwith A」の連動は、主に「下げDR」に活用される機能です。本来はデマンドアラートをもとに行っている制御を、DRの発動をきっかけとして行えるよう改良を施しました。
――「エグゼムズwith A」には今後、どのような機能が追加されるのでしょうか?
岩渕:「エグゼムズwith A」のデマンド制御は、基本料金を抑えることを主な目的としています。一方、省エネやカーボンニュートラルの観点から考えると、使用電力量(kWh)の削減も、お客さまにとっては引き続き取り組んでいかなければならない大きな課題ということが言えます。そのため、デマンド制御だけではなく、シンプルにエアコンの稼働を自動的に抑制して、使用電力量を削減する機能の追加も検討したいと思っています。
――「エグゼムズwith A」の導入を検討するお客さまへメッセージをお願いします。
五十嵐:DRは、省エネ法においても「電気の需要の最適化」としてDRの実施回数の報告が義務化されるなど、社会から求められる取り組みとなっています。
電気のコスト削減と下げDRに貢献する「エグゼムズwith A」は、お客さまの課題解決や社会の要請に応えるサービスとして、より多くのお客さまにご利用いただきたいと考えています。
東北6県と新潟県だけでなく、全国のお客さまにご利用いただけますし、東北電力との契約がなくても導入いただけるサービスです。デマンド抑制にお悩みのあるお客さま、空調制御に課題を感じられているお客さまは、ぜひお気軽にご相談ください。